いいずな書店の『大学入試漢字TOP2000』
※国語の記事です。僕(太田)は英語・国語の授業をしているので、大学受験生向けに国語についても書いていきたいと思います。
一昨年(2016年)の京大の現代文を読んでいたところ、キーワード本と漢字本で思うところがでてきました。今回は漢字本についてです。
いいずな書店の『大学入試漢字TOP2000』超お勧め! と思ったその理由を書いてみます。
1.ヒット率最高
一昨年の京大の現代文、漢字問題で「シイ」(四囲)が出ていた(「四囲」は最近だと明治大学の漢字問題でも「シ囲」の「シ」は? という形で出ている)。
社会をやっていると目にする漢字だが、文脈があるとはいえ案外高校生には難しい漢字かもしれない。
個人的には漢字本は2000語以下が適量に思っている(それ以上やるくらいなら他の勉強をすることを勧める)。
2000語の範囲で僕が漢字本を書くなら「しい」は3つ載せる。
「恣意・思惟・四囲」の3つだ(「シイ」の同音異義語は多いが、これ以上は出題率が低すぎるし、文脈があれば書けそうなので、4つ以上は過剰に思う)。
市販の漢字本だと「恣意」だけしか載せていない本が多いが、3つとも最近の漢字問題で出ているし、それ以前に現代文では「恣意」も「思惟」も意味を知らなければならない言葉だ。
3つそろって収録しているのは、いいずな書店の『TOP2000』と三省堂の『頻度順 入試漢字の総練習 』くらいで、2800入っている本でも大抵は「恣意」しか載せていない。予備校の先生が書いた気が利いた本だと「恣意」と「思惟」の2つのことが多い。
ここで『TOP2000』が、この年(’16年)の京大の漢字(書き)問題をどれくらいカバーしていたかを見てみよう。
参考にamazonでも人気の某書と比べてみる。
’16京大 |
TOP2000 |
某人気本 |
懸念 | ○ | ○ |
四囲 | ○ | × |
絵空事 | × | × |
迫真 | ○ | × |
行使 | ○ | × |
『TOP2000』は「絵空事」以外全部載っていた。
京大の問題を見たあとで収録したのかもしれない?
では今年2018の東大の漢字(書き)問題を見てみよう(’18年京大は漢字問題を出していないので)。
’18 東大 | TOP2000 | 某人気本 |
蓋 | ○* | △** |
隣接 | ○ | × |
呼称 | ○ | × |
すごい的中率だ。
*「みもふたもない」で載っている。
**「蓋然」の読み問題で出ているが、「蓋然」(ガイゼン)を読めたからといって「ふた」が書けたかは疑問である。
ここまでヒット率の素晴らしさについて書いてきたが、実はヒット率については、僕はあまり重視していない。
的中したかどうかは年によってばらつきがあるだろうから、漢字本を選ぶ際にはもっと別の視点がある。
次のページからその話。